1990年に多くの業界・業種の企業に導入されてきたERPシステムはシステムの老朽化、ブラックボックス化、保守サポート費用が高額、システムのガラパゴス化、効率的なデータ分析ができない、グローバル企業に対応できないなどの問題がありました。次世代型のERPシステムにリプレイスすることで、新しい環境を簡単に整備でき、運用コストを削減できるというメリットがあります。
次世代ERPシステムへのリプレイスを行う場合、データ移行が特に難しく、導入にはシステムに対する理解度やスキルが必要となります。乗り換え時にはシステム導入目的や実現項目を明確にし、業務に合わせてカスタマイズするのではなく業務をシステムに合わせること、そして、システム導入後もサポートしてくれるベンダーを選ぶことが重要です。
ERP財務会計システムに搭載される標準的機能には一般会計、債権管理、債務管理、管理会計、資産管理、資金管理などがあり、日本の商習慣に合った機能が搭載されたシステムもあります。ERPの形式にはオンプレミス、クラウド、ハイブリッドがあり、導入手法としては「Fit to Standard」が注目されています。
ERPリプレイスにかかる期間は選んだシステムやカスタマイズによって異なりますが、長期的な視点に基づいた導入計画をたてることが重要です。実際にERPを導入した中小企業や大企業3社での導入期間を参考に、自社のERP財務会計システム乗り換えスケジュールを検討してみてください。
新規にシステム構築するよりもシステムのリプレイスは難しいだけでなく、スケジュールの遅延やコスト増大といったリスクもあります。リプレイスを行うにはリスクも考慮したスケジュールをたて、それに沿って作業を進めることが重要です。ERPリプレイスプロジェクトを成功させるために社内で事前準備(プロジェクトチーム設置~要件定義)をしっかり行い、リプレイスプロジェクトを成功させましょう。
これまでのERPシステムから新しいERPシステムにリプレイスする時にはデータ移行作業が必要です。移行後のシステムに大きな影響を与えるデータ移行は、しっかり事前準備を行っておく必要があります。事前準備の内容とスケジュール項目、4つの移行方式(一括移行方式、段階移行方式、順次移行方式、パイロット移行方式)について見てみましょう。
コロナ禍により企業活動のデジタル化が進んだことでクラウドERPを利用する企業が増え、今後も老朽化したレガシーシステムのリプレイスやDX推進でERP市場は一層の成長が見込まれています。ERP財務会計分野の最近のトレンドは「Fit to standard」という手法と「ハイブリッドクラウド型ERP」です。2025年の崖に対する企業の対応、SAP2027年保守終了問題における選択肢についても知っておくとよいでしょう。
新しいERPの選択時には、自社における現状の課題を解決できるようなERPを選ぶことが重要です。課題別のおすすめERPとしては、「Fit to Standard」を実現できるERP、グローバル企業のための機能を搭載するERP、グループ会社のための機能を搭載するERPなどがあります。また自社業務に適したERPを選ぶためのポイントをしっかりとおさえておくことも重要です。
ここでは、既存の問題点を解決に導くおすすめのERP財務会計システムを紹介しています。
(対応領域)
財務会計・管理会計
ほかに債権・債務管理、固定資産管理、経費精算、財務・資金管理、購買管理、賃貸不動産管理
(対応領域)
財務会計、資金管理、管理会計、外貨建て取引管理、債務管理、
債権管理、手形管理
ほかに固定資産、リース資産、連結、経営管理など
(対応領域)
買掛金勘定、売掛金勘定、資産リース、予算作成、現金および銀行管理、原価会計、経費管理、固定資産、Finance Insights(財務分析)、一般会計と財務諸表、プロジェクト管理と会計、公的機関
【選出した条件について】
このサイトでは、デロイトトーマツ経済研究所の「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望【2023年度版】」(https://mic-r.co.jp/mr/02780/)にて、大手向けに分類されているERPで財務会計分野のある13社。さらに、「ERP 財務会計 大手向け」でGoogle検索(2023年10月20日)、公式サイトがヒットするERPベンダーを加えた23社の製品を紹介しています。
※上記ERPの中から、3つのリプレイスの課題に対応できるERPを紹介。(公式サイトの記述を参照しています)
【Fit to Standardを実現したい企業へ】HUE AC (ワークスアプリケーションズ)…業種・業態、商習慣にフィットする網羅性の高い機能、保守費用の軽減につながる無償での永続的なバージョンアップはHUE ACのみ
【大規模なグループ連携のある企業へ】Biz∫会計(NTTデータ・ビズインテグラル)…実際に対応しているグループ会社数が多い。グループ共同で同一環境を利用可能、各社会計データの自動連携や集約、不一致がある場合の原因把握など、グループ経営を支援する要素が多い
【グロバール対応・海外拠点が多い企業へ 】Dynamics 365 Finance(マイクロソフト)…対応できる国や地域が最も多い。共通のシステム構築やグローバル リスクの回避策など使い勝手もクリア。officeとの親和性。