ERP(Enterprise Resource Planning)は日本語でいうと、「経営資源計画」。ERPシステムは企業組織全体に分散している「ヒト・モノ・カネ・情報」を一元的に管理し、業務や経営の効率化を図ることを目的とする基幹業務システムのことです。ガートナーグループによって1990年に提唱され、これまで多くの業界・業種の企業がERPシステムを導入してきました。
基幹業務は人事、会計、販売、生産に大別されますが、ERPシステムによって対象範囲が異なります。ERP財務会計は企業の財務管理、顧客管理、サプライチェーン管理などの情報を包括的に管理します。
従来型のERPは、業務に必要となる機能を統合した単一システム(パッケージ)で運用されていることが多く、中には異なるモジュールが個別に動いているというものもあり、さまざまな課題を抱えていました。最近では従来のERPシステムから次世代ERPシステムにリプレイスする企業が増えてきていますが、その目的は業務効率化とコストダウンにあります。
※ガートナー(旧ガートナーグループ)は米国コネチカット州スタンフォードに本社がある世界規模の情報通信技術(ICT)リサーチ&アドバイザリ企業
従来のERPシステムから次世代ERPシステムにリプレイスすることによって、次のようなメリットがあります。
従来のERPと比べると次世代ERPシステムではシステム運用が簡単になります。導入、セットアップ、アップデートなどのコストを削減でき、人材や成長戦略への投資など、ERP以外に多くのリソースを使えるようになります。
次世代ERPシステムは単一パッケージではなくシステムが連携する構成のため、新しい技術やサービスも簡単に取り入れることができ、そのための環境も容易に整備することが可能です。 次世代ERPならワークフローの自動化、IoT機器からのデータ取得や分析、データを活用する新サービスなどの取り組みにも対応しやすいでしょう。
老朽化したERPシステムは、新技術やセキュリティ基準に対応していないことがあります。そのため、最新ソフトウェアやハードウェアとの非互換性によりシステム全体のパフォーマンス低下を引き起こす可能性があります。保守が切れてしまったERPシステムは、新しいセキュリティの脅威に対処することができません。
システムに必要な機能が足りない場合、現場ユーザーは業務処理に時間をかけざるを得ず、業務効率が低下し満足度も低くなります。
もともと自社の業務や商習慣に合っていないERPシステムを導入した場合や、事業成長や法改正・制度改正によって使っていたシステムが合わなくなった場合、アドオン開発や個別開発によって機能を追加する必要がでてきます。そのため、追加機能部分のブラックボックス化、機能重複、誰も使わない機能の追加といった問題が起こります。
セキュリティ脅威が増加する中、定期的にシステムのセキュリティパッチやアップデートを適用する必要性、新しいオペレーティングシステムに対応するためのアップグレードなど、ERPシステムを導入した後も、さまざまな保守サポートが必要となります。そのため、従来のERPシステムの保守サポートには高額な費用がかかり、適切なアップグレードや変更に対応するために追加費用が必要となるものもあります。
ERP導入時、ビジネスプロセスを見直さず部署ごとに追加のアドオンを作ってしまったケースが多く、システムや業務のガラパゴス化を招いてしまっています。アドオンを個別にアップグレードするためにグループ会社の動きも把握しにくくなり、ますますガラパゴス化が進んでいるにもかかわらず、ブラックボックス化したERPを使い続けているケースも少なくありません。
従来のERPは全ての業務が1つのシステムに集約されています。システムが大きくなるにつれて、情報も増えていきますが、大量データを効率的に処理することが難しくスケーラビリティの問題が生じることがあります。また、グループ会社が異なるERPシステムを使用している場合、データ形式や構造が異なることがあります。そのため一元的にデータを集めて分析することが難しく、データを統合して分析するための工数が必要となります。
最近ではマーケットを拡大するためだけでなく、コストの削減のために海外拠点をつくる企業も増えています。グローバル企業においては、現地の法律、言語、会計、通貨などの既存制度に対応するのが難しい、日本と同じERP/財務会計システムが現地法人に合わないという問題もあります。
企業の経理業務をサポートする会計ソフトは1960年~70年代から導入され、現在も多くの企業で利用されています。しかし、これまでの会計ソフトでは、企業のさまざまな部署で使われているシステムからデータを収集し、会計ソフトに入力するという二重の手間がかかっていました。ERPシステムを導入することで、ほかのシステムからデータを収集する必要がなくなるため、正確かつ効率的に組織全体の会計業務を管理することが可能となりました。
会計ソフトを利用することで、帳票・伝票入力、予実管理、資金管理、仕訳、財務分析、決算等、経理にかかわる業務を一元管理して請求書発行、入金管理、経費精算などをスピーディに行うことが可能となります。
会計ソフトは経理業務をサポートするものですが、ERPは複数業務に対応することが可能です。1つのシステムで全ての業務を統合して一元管理ができるため組織全体の業務を管理することができます。
ERPはさまざまな業務システムを統合化し、情報を一元管理することを可能にします。会計ソフトからERPにリプレイスし複数業務を一括管理することで経営データ分析に役立てることができます。さらに膨大なデータを効率よく管理・分析できるのでトータル的なコストダウンも期待できます。
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ここでは、既存の問題点を解決に導くおすすめのERP財務会計システムを紹介しています。
(対応領域)
財務会計・管理会計
ほかに債権・債務管理、固定資産管理、経費精算、財務・資金管理、購買管理、賃貸不動産管理
(対応領域)
財務会計、資金管理、管理会計、外貨建て取引管理、債務管理、
債権管理、手形管理
ほかに固定資産、リース資産、連結、経営管理など
(対応領域)
買掛金勘定、売掛金勘定、資産リース、予算作成、現金および銀行管理、原価会計、経費管理、固定資産、Finance Insights(財務分析)、一般会計と財務諸表、プロジェクト管理と会計、公的機関
【選出した条件について】
このサイトでは、デロイトトーマツ経済研究所の「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望【2023年度版】」(https://mic-r.co.jp/mr/02780/)にて、大手向けに分類されているERPで財務会計分野のある13社。さらに、「ERP 財務会計 大手向け」でGoogle検索(2023年10月20日)、公式サイトがヒットするERPベンダーを加えた23社の製品を紹介しています。
※上記ERPの中から、3つのリプレイスの課題に対応できるERPを紹介。(公式サイトの記述を参照しています)
【Fit to Standardを実現したい企業へ】HUE AC (ワークスアプリケーションズ)…業種・業態、商習慣にフィットする網羅性の高い機能、保守費用の軽減につながる無償での永続的なバージョンアップはHUE ACのみ
【大規模なグループ連携のある企業へ】Biz∫会計(NTTデータ・ビズインテグラル)…実際に対応しているグループ会社数が多い。グループ共同で同一環境を利用可能、各社会計データの自動連携や集約、不一致がある場合の原因把握など、グループ経営を支援する要素が多い
【グロバール対応・海外拠点が多い企業へ 】Dynamics 365 Finance(マイクロソフト)…対応できる国や地域が最も多い。共通のシステム構築やグローバル リスクの回避策など使い勝手もクリア。officeとの親和性。